恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏

それって、その筋のお方ってコト?

そうだよね、当麻くん強いし、指導力ありそうだし、先輩からも恐れられてるし。それって家系から来るものなんだ?

「ハハ、今ヤバい仕事だと思ったろ?それならそれで気もラクなんだけどな」

違うんだ。ホッとしたぁ…。お母さんが姐さんとか、怖すぎるし。

「でも、まともな仕事じゃない事だけは確かだわな。しかもこの家、最近建ったばっかだから築浅いし、人んちにいるみてーでさ」

「最近建ったの?じゃあ新築じゃない~。すごーい、綺麗…。景色が見えるよ」

ゆっくりと登るエレベーターの窓から、学校や、周りの街並みや、遠くの山が見える。

「オレの本当のうちは…もう、この世から消えたから」

当麻くんを見ると、切ない瞳を窓の外に向けていた。

「この世からって…何かあったの?」





私がエレベーターの窓についた指に、当麻くんの手のひらが重ねられる。

彼が吹きかけた息で、ガラスが曇る。