「ほっぺはあげないも~ん」

「ハハッ、おもしれぇ。何でこんなぶよぶよ?」

ぶよぶよぉ!?ひどっ。

ぷにぷにとつまんでは、軽く引っ張って遊んでる。

「もぉ、早く帰れば?」

「言われなくても帰る」

絹川くんは口端を少し上げ、私から手を離した。

「バイバイ」

「おー」

何か変な別れ方になっちゃった。



さっきまで甘かったのになぁ。

「じゃーな、大人しくしとけよ?」

「またそれぇ?」

どんだけおてんばだと思ってんのよ。

「心配だしな。さやの事だから、額田みたいなヤツ現れたら面倒じゃん?色目使ってんじゃねーぞ」

「何それぇ?使ってないよ。それに…絹川…当麻くんより、好きな人、現れたらどうする?」

うわ、またやっちゃった。

素直になれない、私のバカぁ。

本当は…

もっとそばにいてって、抱きついて引き止めたい位なのに。

当麻くん…。




言った手前後に引けず、黙る私に

当麻くんは帰り際、チラッと私を見てフッと笑った。



「何言ってんの?もう…オレのだ」