愛未は、丁寧に伝えた。 「手を…引け…」 ノイズは、全く良くなっていない。やはり、聞き取りにくい。 「どちら様ですか?」 「お前は、手を引けぇぇぇぇ!」 低い低い唸るような、声に驚いて受話器をおろした。 ピッ-! 火にかけていたヤカンが鳴いて我に返った。 それにしても、恐ろしい電話だった。酷いノイズも、気になった。愛未は、忘れることにした。そして、兄にコーヒーを持って行く。 「お兄ちゃん、コーヒー飲んで一休みして。」