衣理の右手には血の滴るナイフがしっかりと握り絞められていた。 柚依の左胸が紅く染まっていく。 「…ど…して…」 血を流しながら柚依が言う。 「人を死なせた罪は…思いのよ。」 そう言ってくる衣理を柚依はしっかり見ようと目を凝らすとそこには…。 「侑…菜…」 そう言って柚依は瞼を閉じた。柚依の最期を看取ったのは『侑菜』だった。 後には侑菜の笑い声が響いただけだった。 柚依の家に着いた衣理は表札の横にあるチャイムを数回押したが全く反応がない。 「こんにちは-。」