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「この度は、ご愁傷様です。」


 学校長は高野美幾のお通夜に現れて両親にそう頭を下げた。


「先生っ!うちの娘はイジメなんかしてません!」


 美幾の母親が学校長に掴みかかるように言った。その姿をカメラがとらえる。


「もちろんです。我が校にはイジメなどは存在しません。」


 学校長は淡々と答えた。それは、大きなニュースだった。


「じゃあ、美幾はなんで自殺なんか!」


 美幾の母親は学校長に言う。


「それは我々にも解らないのです。」


 学校長は、予想通りの受け答えをしていた。責任逃れをしている。


「私はこれで失礼致します。」


 学校長は言って早々に帰って行く。