「ネコよ。」
「危ないっ!」
「馬鹿なネコ。」
「落ちるとこ見たくねぇ。」
「なんで、こんなとこにいるんだよ。」
様々な、声が飛び交う。しかし、黒ネコは、散歩を満喫しているように見えた。
「どう…すれば……。」
仕方なく歩き続けていた彩禾は、精神的な限界が来ていた。
しばらく歩いていると目の前に黒猫が現れて一声鳴いた。
「侑菜……。」
彩禾は、黒猫をそう呼んだ。黒猫が余裕いっぱいの顔を向けて笑っているように彩禾には見えていた。
「私……死にたくない。」
彩禾は、自然と命乞いをしていた。黒猫が、馬鹿にしたように笑って見えた。
「ごめんね…。侑菜……ごめんね…。」



