彩禾は、叫び続けた。でも、その日に限って周りのアパートやマンション、一軒家には明かりがついておらず彩禾の悲痛な叫びは、聞こえてはいなかった。
「どうして……誰も、居ないのよ!」
彩禾が、叫ぶと
「もし、もし。」
と、声をかけられた。彩禾は、振り向いた。
「大丈夫ですか?」
品のいい二十代後半くらいの女性が彩禾に話しかけて来た。
「良かったぁ。」
彩禾は、すごく安心した。
「良かった、じゃないわよ。早く、なんとかしなくちゃ!!」
女性は、真剣に彩禾の手を握って言った。彩禾は、小首を傾げた。
「私は、黒谷珪(けい)。昔、母が亡くなったの。」



