「ありがとう。お前は、優しいね。」
彩禾は、言ってそっと黒猫を抱き上げた。黒猫は、彩禾の手を舐めた。
「パパとママは……別居中。子どもは、お荷物なのよ……。」
彩禾は、泣いた。静かに泣いていた……。
<哀しき子よ…。>
彩禾は、回りを見た。
<憐れな……哀しき子よ…。こちらにおいで……こちらに…。>
彩禾は、立ち上がって黒猫を床に落とすように降ろして辺りを見回した。
<お前も憐れな…子だったのね……。こちらへおいで…憐れな……哀しき子よ…。>
彩禾の耳に声が届く。彩禾は、くるくると辺りを見回し続ける。すると、リビングのカーテンが揺らいでいた。



