「先生…ありがとうございました。」 沙織は、医師の手を握って言うと医師は“うんうん”と頷いてくれていた。沙織は、深々と頭を下げて病室を飛び出した。 遠くで医師が自分を呼んでいるのが聞こえた。 …………………………… 「っ…。」 沙織は、真っ青な顔をして道を見つめる。 逃げなければ。 ここから遠くへ… 逃げナケレバ……。 沙織は、ゆっくりと立ち上がってまたゆらゆらと歩き始める。 すぐ後ろに侑菜を感じながら、沙織は、宛てもなく薄暗くなり始めた町外れの道をとぼとぼと歩いていた。