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 まず、真っ白な天井が瞳に映った。そして、不快な機械音。

 音。音。音。音。


「(煩いなぁ。)」


 朦朧とする意識の中で沙織は、そう思った。


「良かったですね、内橋さん。」


 声をかけられて沙織は、ようやく真っ白な天井がいつも居る病室の天井だと気がついた。


「…てる…。」


 沙織は、静かに聞いた。若い看護師は、何となく聞き取れた。


「大丈夫ですよ。ケガは、軽いのですぐによくなりますよ。」


 看護師に言われて沙織は、苦笑いをしたが看護師はそれに気がつかなかった。


「(あぁ…。生きてるのか…。)」