8 『もう…追うな。』 悟と愛未は、自宅マンションの玄関に立ち尽くしていた。 玄関入ってすぐの廊下に制服を着た少女がぼうっと立っていた。 「手は引かない。そして、これ以上の犠牲者は出させない。」 悟は、はっきりと亡霊に言った。亡霊は一瞬悲しそうな顔をして空気に溶けるように消えた。 「愛未っ!」 悟は、後ろで床に力なく座り込んでしまった妹の前にしゃがみ込む。 「ごめん…。大丈夫。」