衣理を見下ろして柚依は囁くような優しい声で言った。
「ゴホッ、ゆっ…い……助けっ。」
衣理は、もがいて顔を水面からようやく出してむせながら言った。しかし、目の前で見下ろす柚依は青白い手を伸ばして衣理の頭をプールの水に押し込み始めた。
「んっー!
(やめてっ!柚依っ!)」
衣理は、もがきながら心の中で叫んだ。
バシャ、バシャ。
暗い暗い学校の裏にあるプールで誰が溺れていようと誰にも気がついてはもらえない。
「 忘れられるか……
この怨み。
忘れられるか……
この哀しみ。
忘れられるか……
この虚しさ。 」



