「お願い……逃げないで…。」 青白い手を伸ばして柚依は、衣理に迫る。 「やめてっ、死にたくないっ!」 衣理が叫んだと同時に柚依の青白い手が両肩に触れた。 ザッバーン! 身体がグラつく感じがした時には遅かった。衣理の足はもうプールサイドのコンクリートを離れて宙に浮いていた。 「ガボッ…ゴボ、ゴボ。」 衣理は、冷たいプールの中でもがいていた。しかし、もがけばもがく程に身体の体温は奪われて動き難(にく)くなる。 「一緒に……逝こう…。」