そう言ってみたものの…とても“夢”とは思えなかった。 「忘れさせない…。」 衣理は、ハッとして振り向いた。しかし、もちろん誰もいない。 「忘れなきゃ。」 衣理は、自分に言い聞かせて両頬をバシバシと叩いて気合いを入れた。 「さぁ、忘れよう。」 衣理は、言ってお風呂場に向かった。 忘れられるか…… この怨み。 忘れられるか…… この哀しみ。 忘れられるか…… この虚しさ。 衣理は『死』の恐怖にすでに、囚われていた。