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(『愛未…助けて…』)



「侑菜っ!」


 愛未は布団から飛び起きた。愛未の耳には侑菜の声が生々しく残っていた。


「お兄ちゃん…?」


 愛未は隣の布団を見たが兄の姿がなかった。


「お兄ちゃん…?」


 愛未は立ち上がって素早く着替えを終えて部屋の鍵を手に取って出た。


「「うわっ!」」


 二人は同時に声をあげた。


「「すみません!」」


 二人はまた同時に言った。愛未は相手を見た。


「本当にごめんなさい。」


 愛未は朝食を運びに来た女性に言った。


「いいえ。こちらこそ、すみません。」