誰であろうと“家”は、守りの場所だ。 美幾は、走った。 力の限り走った。走るしかなかったから。 ようやく自宅の玄関先にあるオレンジ色の明かりが見えた。美幾は、ホッと胸を撫で下ろしてインターホンを押した。すると中でインターホンを取る機械が掠れる微かなノイズが聞こえた。 「どちら様?」 美幾の母親が出た。 「お母さんっ、助けてっ!お願いっ!追われてるのっ!助けてっ!!」 美幾は、近所迷惑になりそうな声で母親に訴えた。