彼と向き合い話す体制になる。
寝ようと思ったが、少し目がさえてしまった。
膝を抱えて、焚き火に照らされる彼を見た。
「疑問、ね。それは俺だって、疲れた君を起こす気は起きないよ」
「毎日、治療して疲れている時は必ずちょっかい出すくせにですか」
「今日は別格だろう。歩きすぎだ。夜になってもまだ歩くと進んで、やっと止まった今。何時ぐらいか、分かっているかな」
「え、まだ八時前じゃ」
「十一時ごろ。ほら、赤い星見えるかな。あれは北で止まったままで、夜空はあれを中心に動いていく。
月と星座の位置から、だいたい今の時間はそのあたりなんだけど……ユリウス?」
彼から言われたことに、何から驚けば分からなかった。
黙ったまま、夜空を見上げる。
十一時。八時だと思っていたからびっくりしたし、彼からまさか月星の動きで時を知るなんてロマンチックなことを聞けることも。


