納得したような彼。
薪を焚き火にくべた後、満面の笑みで。
「俺と寝たいなら最初から素直に言ってくれれば――」
私に飛びつく人を手で止める。
パーではなく、グーの形になったのは習慣からだろう。
自ら鼻に私の拳を当てて、引いた彼は下を向いていた。
「っ、やっぱり、外での蜜月は嫌か……。案外、燃えるものだと思うよ」
「あなたを薪代わりに燃やしますよ」
「いや、確かに人間は案外、燃える資材(もの)だが……。ユリウスは本当に男の扱いが上手いなぁ。誘っておきながら、嫌だとそっぽを向くだなんて」
「ただ疑問を言っただけです。夜、私が寝るとなれば必ず話しかけてくれるのに何故。という、裏なんかまったくない、純粋な疑問です」


