治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



幹の寝台は寝心地最悪だが、半日以上歩き続けた体にとっては休まればそれでいい。


……いつものように彼が邪魔してこなければ、の話だが。


「……」

「……」

「…………」

「…………」



おかしい。
静かだ。薪が火に燃えて跳ねる音程度しかない。


ちらりと彼の方を見れば、太い薪を片手に焚き火の番をしているよう。


焚き火は少しでも目を離せば消えてしまうもの。


交代制と思い、成り行き上、まず私が横になり、彼が番をするというのに何の間違いもなく、おかしいはずがないのだけど。


「………」


黙ってみていれば、彼と目が合う。


「どうかした?」


「いえ……、いっつも何かしてくるのに、今日に限っては何もしてこないなと」


「ああ……」