治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



私の言ったことに、彼はいやだなぁ。とほがらかに笑ってみせた。


「二枚かければより温かく、そうして二人よりそえば溶けてしまうほど温かい。村の皆さんもよく分かっている。毛布を二枚用意して、二人で一緒にぴったりべったりと一夜を過ごしなさいという心遣いだ」


「常識をどこに捨ててきたんですか、あなたは。二人いて、二枚なら、それぞれで、ってことですよ」


「いやいや、ないない。一般人はそうかもしれないが、愛し合う俺たちは何事も共有しなきゃね。おいで、ユリウス。毛布にくるまり、ガサゴソ、もぞもぞ、イチャイチャしよう。

あ、変な意味じゃないよ。俺はただ寒がる君を温めたいだけだから。俺の肉体は君を抱くためだけに――」


彼から毛布を一枚剥ぎ取る。


別々で寝る気満々の私は、彼から離れられる距離のギリギリで明後日の方向を向いて大木にもたれかかった。