治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



手は握られたままで、より力が入った。さながら、ずっと隣にいてと言われたようで。


「なんでだろうね、同じなのに、何も変わらない景色なのに……。どうしてこんなにも、あの時にはなかった感情が生まれるんだろう」


生まれなかった感情を味わいたいと、彼は私を求めていた。


疑問を投げかけられたが、私が“あの時の彼”というのを見てもないし、知りもしないから、どんな理由があるかは分からないけど。


「一緒に見ましょうよ。それであなたが喜べるなら、私はこうしていますから」


私も上を見る。
変わらない夜空は七色に。

消えてしまうのは悲しいけど、記憶できるのが人間だから、忘れないように、いつ何時も、鮮明に思い返せるように。