思わず、手を伸ばした。
はあ、と見惚れたため息が手にあたり、空に行く。
届きやしない空、なのにどうして、こんなにも“近い”と感動していたのか。
夢にもなかった、想像したこともない、遠い幻想が、今目の前にある。
涙が出てきた。
初めてで、こんなの見たことなくて。
物語のラストを見て、泣いた気持ちと同じ――溢れ出たのは感動の文字。
泣きむせぶことはなく、目から頬に流れる雫を感じ続け、顔はそのまま。
決して明るすぎることはなく、辺りは暗いままだけど、暗くなければじっくりとあれを観察できなかっただろう。
手を下ろし、涙でかすんだ目を拭いた。
人間の作りはおかしい。感動して涙したのに、その涙が見るのを邪魔するんだから。


