治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「まだ綺麗という言葉を使ってはいけないよ。まだ先に続く、虹の物語があるんだから」


私の心を見透かす人が話す。


まだ先がある。この綺麗なモノは、もっと成長すると。



【鍵を開こう】



彼は、物語を語った。



【牢獄から、あるべき居場所に解放しよう。夜闇の役者よ、夜空を舞台に咲き誇れ。お前を縛る器は、我が壊してあげよう】


水晶が、花ひらく。

固いガラス玉のはずが、つばみが花ひらくのと同じやり方で、水晶が開いた。


開けば、中にあったものが溢れ出す。あれだけつまっていた虹たちは、我先にと夜空に。



「これが、夜空の虹だ」



夜の世界に、咲き誇っていた。


見上げたままの首が、もう動かない。


地に橋架ける昼の虹と違い、夜の虹は空のカーテン。


空の風に揺らされ、見る角度が変わるたびにその虹は色を変える。