月に関しては色々言いたいが、今は確かに彼の指摘通り戸惑いからパニックになっていた。
言われた通りに水の音だけ聞いていれば、風鈴と同じような効果を得る。
目が使えない状態だから、耳がよく働いてくれる。
「さて、じゃあ始めるか」
闇に響く彼の声は、光に似ていた。
安心してしまったんだ、闇で聞いた声に。
「見てごらん」
暗い中で何が見られるのかと思えば――目の前にあった。
彼の手のひらが見える。そこに光があったから。ただの光じゃなく、七色の発光は雨上がりの空で見るものに似ていた。
「虹……」
明るい時には見えなかった、“水晶の中身”が今になって正体を表した。
ガラス玉いっぱいにつまった虹は帯が絡み合っているようになっていて、ガラス玉の器から飛び出てきそうだ。


