「ラグナロク様まであおらないで下さいっ、売らない、絶対に、この百万円は売らない」
口にまで出して売らないと言っているというのに。
「百万円って言う時点で、物ではなく金として見てるよねぇ。ユリウス、百万じゃなく、数百万だよ」
「誘惑しないで下さいっ。もうこの話は売らないでしめます。しめますからね、分かりましたか」
「分かった、分かった。じゃあ、しめたところで……ババアとの会話はもういいだろう。待ちぼうけはもう我慢ならない」
彼が私の腕を掴む。
手ではなく、腕というのは強引強制の表れ。
「ラグナロク、しばらくしたら辺りを暗くしろ。ここでやるから。言っておくが、邪魔するなよ」
「ああ、早速か。好きにしろ、最低限のシチュエーションは整えやる。せいぜいユーリを喜ばせることだ」
「はっ?何の話ですか、何のっ」
聞くも彼に強引に引っ張らて、ラグナロク様たちと離れてしまった。
「ちょ、あの……。え、ええっ、シブリールさん、何考えてんですかっ」
前進む彼につっこんでも、何かいつも違う感じだ。
「君を喜ばせたいんだ」
微笑みが、怖い。
いつもと同じなのに、軽く寒気を覚えるのは何故だろうか。……というか、なんで顔が熱くなってきたんだ、自分はっ。


