治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「『知る』と『出来る』は違う、別物だよ。例えば、火を出したいと魔導書を読んだ君がいたとしよう。

完読し、『どうすれば出せるか』を知った君だが、いざ実行するとなると初めから出来るものではないだろう?

もっと分かりやすく言えば、水泳。カナヅチが泳ぎたいと、泳げる人にやり方やコツを教わっても、いきなり綺麗に泳げることは出来ない。

その点で言えば、アフロディーテも同じだ。ただアフロディーテに至っては、より分かりやすくやりやすい数多の知識を、読まずに一気に脳に流し込むのだから、そこいらの魔導書よりはおすすめだ」


「で、でも、それでも十年って……!」


「一般の魔導書じゃ、十年どころか、出来るかも分からないよ。仕方がないんじゃないの。俺たちのこんな関係性――俺の状態は例がない、異例。

誰もやったことがないモノを、俺以外の誰かが元に戻すのは出来るものではない。俺がやろうにも、ユリウスによって限定がある状態じゃ成功の望みは薄い」