「あの、じゃあ……、私に魔導書の一ページをくれるとなると」
「無論、そなたの器――体にじかに送ることになる。本を読まずにして、内容を一気に脳に流し込む感覚だ。
もっとも、そなたには分かりやしない感覚だろうが。経験しなければ分からないことだ。
さあ、余に近づき、目を見ろ。近い方が渡しやすい」
近寄れと言うが、ためらいがあった。
怖い。
なに今更言ってんだと、己に怒りたい気持ちはあるが、何秒かくすぶるのは仕方がないだろう。
てっきり、書物を一つ貰うだけと思っていたのに、脳にじかに流し込むとか、経験したこともない体験をさせられるのは、普通に怖い。
「どうした?怖がることもない。確かに、未知の知識を『知る過程』を無視して、直接脳に流し、『分かる状態』にするには体に付加がかかるが。
なあに、頭痛がしばらく絶えぬが、痛すぎるというのはない、安心しろ。
全ページならば、身が破滅するほどの痛みがあるが、たかだか一ページ分を移した程度ではそれぐらいだ」


