治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



ラグナロク様がまばたきを数回した後、三秒ほど瞼を閉じたままで。


「これが、アフロディーテだ」


開けられた目には、変異が起こった。


真っ黒な目に“飾り”が浮き彫りになる。白い図面のような、こちらが目をこらさなければ分からないほどの小さな文字が、横書きでびっしりと、ノートに文字を書いたのと同じように刻まれていた。


「アフロディーテって……」


「そなたが欲しいものはこれだ。もっとも、そなたが今見えているものはほんの一部。余の中から溢れ出そうになっている、知識の一つだ。

まあ、目に関しては“出口”の役割も果たしているからな。誰かにアフロディーテを譲渡する時はこうして――ん?」


「ラグナロク、ユリウスはアフロディーテを何であるか分かっていない。当たり前のように説明されても、余計首を傾げるだけだ」