治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「どうかえ?」


「素敵です」


間髪入れず出した素直な感想に、ラグナロク様は満足そうに頷いた。


ついで。


「別に何も変わってないだろうに」


復活した彼も素直な感想を言っていた。やはり男性は細かな変化に気づかないらしい。


立ち上がったシブリールさんの燕尾服にも血が無くなっていた。ただ、脇部分に穴が開いている程度で特に気にする必要もないようだ。


「年甲斐がない格好だ」


もー、と怒りたいが、ラグナロク様が気にするでないと私を止めた。


「それよりも、本題と入ろうか。あの勝負、不本意ながら余の敗北ぞ。望み通りの品を渡そうか」


私たちと向き合うラグナロク様がそう言った。


正直、言われて『あっ』と思ってしまう。忘れていたわけじゃないけど、血まみれのラグナロク様を見ていたせいで、どこかに行っていた。