治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



大体、肩から腰まで斜め切りをしてこんなことに。


ビスチェドレス。肩紐がないドレスだからこそ起こりうる現象だ。


肉を切った、ならば、肌を隠す布地もまた然り。


前部分は切れていないみたいだが、後ろはバッサリ。胴体が繋がらない布地など、ただの一枚の広げた布でしかない。


体を治すことだけに専念していたため、服に関しては完璧な眼中外。


「はっ、す、すみません、じろじろ見ちゃってっ」


私もラグナロク様から目を外して見るが、女だからいいんだと、どこからか湧いた気持ちが、ちらりと覗き見してしまう。


あんなドレスを着ていたんだ、プロポーションは凄いと分かっていたはずなのに。


妻がいる夫でも、ころりと騙されてしまうような姿であって――羨ましいと見てしまう。