治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



広い世界を歩いた自分。


夢の中だからか、やけに綺麗な風景。


夜空が遠くて、星が近い。そして何よりも、虹が出ていた。


――手を伸ばす。

伸ばした私は楽しんでいた。



“楽しかった”



「………、なにを」


思っているんだかと夢を忘れようとする。


起き上がり、移動しようとすれば当然のように彼が目覚めた。


私が“行動した”というのに反応したよう。


思う存分眠り続けることも出来ない不便な体なのに。


「おはよう、ユリウス」


笑って朝の挨拶をする彼は、朝露みたく綺麗だった。