今の彼を表明するなら、“私の中の住人”だ。
体の共有と言うが、主導権は私が持っている。だからこそ、限定があるのは彼のみの話。
私が傷つけば、彼も傷つくがその逆はない。
完璧な体の共有をしていないからこそ、彼の肉体はまだ形を持っているのか。
取り憑くと言ったが、あまりにも不完全。
意志疎通、感情共鳴がなっていない。
私が優先される肉体関係だが、“空想種”(魂のみ)でありながら、一個体を確立するためにはこの不完全さが必要だったのかもしれない。
幽霊が取り憑くと同じというが、肉体を持ち続ける魂など幽霊ではない。
どんな原理で、彼が私に乗り移り、またこうして原型を留めているのかは私なんかじゃ一生分からないだろう。


