治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



(三)


欠伸を一つして朝を迎える。


壁の時計を見れば、朝の五時。


冬場はまだあたりは暗かったのに、最近は日の出が早くもう明るかった。


横を見れば、シブリールさん。


変態も、寝ればただの無害。


おかしなことを思って、何気ない気持ちで彼に触れた。


「………」


確かに感触があり、温かさもあるのは普通に生きている証拠。


人間なら当たり前だけど、今の彼は人間とはいえない存在だ。


体の共有。

私を基本(軸)とした、肉体破棄をしておきながら、原型を留めているのは本当に奇跡だ。


私だって――魔術の基礎もよく分かっていない奴でも彼が“やっている”ことの凄さは分かる。