治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



ラグナロク様が黙る。考え込んだらしく、ふむ、と頷いた。


「まあ、良いだろう。あくまでも、力を抑えてやるだけの話だが。うっかりと殺してしまうかもしれんなぁ」


「俺とて、同じ心持ちでいよう」


「ほう、ならば、余からも一つ条件を出そう」


人差し指をだし、一を意味したそれを折りたたんだラグナロク様は。


「逃げるな」


一言。
威圧的な態度に相応しい顔をしたが、瞬時に三日月みたく口を綻ばせた。


「余からの条件はそれのみ。右腕が折れろうが、左足が切られようが。眼球をえぐられようが、内臓を取り出されようが、だ。

どんな痛みを宿しても、必ず逃げないことを誓え。余の気が済むまで戦うことだ」


「クッ、どんな言い回しだか。怖くもないですよ、俺はそれらを知っている。何よりも、戦いが終わるのはあなたが地にひれ伏す時だ。

誓おう、ラグナロク。逃げたりなどしない。戦いを全うし。あなたの血で体を洗うまでは」