(二)
夜の時間というのは、普通一日の疲れを癒やす時間帯なのに。
「腕枕してあげるよ」
「いりません」
安らげない人がここにいた。
つまりは私のことだが、夜寝る度にベッタリとくっつく彼は……やはり殴りたい。
ただでさえ一人用ベッドだというのに、二人も入れば落っこちてしまいそうになる。
ギシギシ軋むスプリング。寝返りをうって、隣で寝る彼を見ないようにする。
せめて彼の行動範囲が後一メートルでもあれば、ベッド、床上と別々に眠られるのに。
「寒くない?あったかくしてあげようか」
ことある気遣いは大丈夫ですと言っておく。
取り憑かれた当初は眠れもしなかったが、今や慣れつつある就寝光景。


