「一生懸命お願いすれば、相手はどう出るか。お願いをしている時点で、相手の選択肢には『渡す』というのが存在します。それを意識したシブリールさんは、『渡さない』と言いますが。
『相手に選択肢がある』は、言い返せば『どうなるかは相手にしか分からない』。他人にしか分からない以上、私(当人)たちがどうこう決定は出来ませんよ。
あなたが言う『絶対』の裏を返せば、渡すも渡さないもどちらでもない、五分五分のことではありませんか」
「五分五分ではない、確実だ。あのババアが魔導書を渡すとは限らないよ」
「分かりませんよ。アリスの言うラグナ様はとても優しい人に思えます。それに、あなたが一度、アフロディーテの魔導書を手にしたのはあの女の気まぐれと言っていたじゃないですか」


