怒るような口調で彼がしたのは、やはりそれらしいことだった。
私の膝上の天使を引き剥がす。アリスちゃんの両脇に手を通し、持っていった。
「さっきから黙ってみていれば馴れ馴れしい。君が男ならば、もう俺の中で百回は虐殺されているぞ」
子供相手にとんでもないことを言い始めた。
彼の持ち物と化すアリスちゃんが、お姉ちゃーんと手を伸ばして助けを求められたのですぐさま助けてあげた。
私が彼の足を踏み、弱った隙にアリスちゃんがこちらに来る。
私の後ろに隠れるようにして、余計彼に対しての警戒が強まったようだ。
「ユーリお姉ちゃんは、アリスのお姉ちゃんなんだからっ」
「訳の分からないことをいきなり言うな。ユリウスは一人っ子であることを、彼女について一番よく知る俺が断言する。
第一、君みたいなやつが妹とは同情するな。殺したいほどの身内だ」
「…………ぅ」
「なんだ、泣くのか。別にこちらは構わないぞ。ガキの泣き声は鬱陶しいからな。余計に彼女に嫌われるがいい」


