アフロディーテの魔導書。世界そのものを作り替えると言われるほどのありとあらゆる魔術(幻想浸食法)が書かれている英知の塊。
私と彼が離れられる方法もあるのではないかと期待する魔導書を、彼が。
「早とちりだよ。持っているならば、俺は君に渡す。昨日、アフロディーテの魔導書を求めた君に」
少し熱が入った体を引く。そうですか、と悲しく呟けば悪いねと言われてしまった。
よくよく考えれば、アリスちゃんが、アフロディーテは今ラグナ様とか言っていた。
先走りしすぎてしまったようだ。
しゅん、としていればアリスちゃんが私の胸にペチペチと触れる。お姉ちゃんと呼んでいるようだった。
「ラグナ様の魔導書欲しいの?」
首を傾げられた質問に、うんと頷けば。
「アリスがお願いしてあげるっ」
「………え」
「いい加減にしろよ、クソガキ」


