治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「まあ、そんな最悪鬼畜女でも誉める点はある。舞台(世界)に立つ役者(人間)で“笑える性格”。あの女はこの世界が大好きだ。こんな役者たちを生み出すこの世界が。

だからこそ、己に世界を終焉させる力があろうともそれを行わずにいる。逆に、その最強たる力を守護者として世界のために使うときた。

それが、ラグナロク一座。魔導師たちを集めて管理するというのが、あの女が世界のためにしていること」



「だったら、シブリールさんがラグナロクにいるのは」


「あのババアに管理――いや、監視かな。俺の場合は強制的に監視されている。最初の内だけだが、今はあのババアの城の居心地がいいから自分からいるようなものだけど。

あらゆる世界の知識が書かれた蔵書もあって、俺のスキルをあげるには打ってつけという理由もある。

どうせいるなら利用させてもらおうと思ってね」



「アリスはね、好きだからいるのっ。甘いお菓子とか、綺麗なお洋服とかがあって。お勉強も楽しいのっ」