どうしてこんな可愛い子を嫌いになるかは、私が知らない『彼らの時間』があるからなのだろう。
「シブリールさん、昨日の話しなんですが……」
聞けば、椅子の背もたれに深く腰掛けながらどことなく話しにくそうに。
「何が聞きたいの、ユリウス。答えられることならば、何でも話そう。俺は君に嘘をつかない。それは、真実(全て)を話すと相違ないから」
長い足が床上を一度軽く叩いた。
話してはくれるようだ。何と聞かれて迷ったが、とりあえずはとラグナロクについて聞く。
「ラグナロク一座にいたと言いましたけど、アリスちゃんから聞いたら、ラグナロクって人名みたいじゃないですか」
「どちらも間違ってはいないよ、それは。ラグナロクは人名――まあ、あのババアの本名は別だが、分かりやすくラグナロクとして。
ラグナロク一座というのは、ババアに集う魔導師たちのことをさす。
ババアに至っては、勝手につけられた団体名でしかないが。なかなかに的をいた名前だと思う。
ババアが集めた魔導師は、揃いも揃って“世界の終焉を実現させる者たち”だからな」


