治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「あれはあれで恥ずかしがり屋の君のお茶目なスキンシップだと、俺は顔面で受け止めただろう。

とにかく、君は俺と離れたくないはずだ。――だって」


手を握られた。
藍色の眼差しに藍色の髪。

爽やか青年が、真面目な顔をすれば見入ってしまうような顔になってしまう。


近い距離。
離れられない関係。

逃げることなんか出来ず、握られた手は離されない。


「君は俺と“本気”で離れようとはしていない。離れる気なら、さっきみたいな初級の魔導書ではなくもっと大きな街の図書館に行くはずだ。

そこで俺との縁切りを探しもせず、こんな小さな小屋でこの生活を続けているのが証拠。

ほら、君はこのまま俺との生活を続けたいと――」


話す人の手をはらう。


力説する彼には目を合わせずに、私は木鉢に没頭した。