治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



ふらふらと立ち上がる彼をアリスちゃんは目で追った。


本当におかしなものでも見るかのようだ。


アリスちゃんが嫌いなのか、その眼差しをうっとうしそうに彼は見ていた。


「なんだ……」


「お兄ちゃん、変………………たい」


思いっきり吹き出してしまった。


アリスちゃんは私の言うことを守ってくれただけなのに、いや、まさか、こんな。


笑う私とは相反して彼は、怒りに溢れたような顔をしている。


まーまーとなだめれば、渋々ながらと彼は空いている椅子に座るわけだが。


「お兄ちゃん、怖くない。前と違う」


「ご要望にお答えして、怖くなってやろうか。話しかけるな、俺は君が嫌いだ」


ひっ、と息を呑んで、ふるふると私に抱きつくアリスちゃんを撫でる。