「どこがだ。愛する彼女の胸元に、うずくまりたいとは健全な男ならば、誰だって」
「視点からして変態ですねっ。ただ小さな女の子が甘えているだけの場面を、どうしてそー卑猥に見ますか」
「卑猥にもなるさ。アリスの顔が埋もれるほどに胸があ――う゛っ」
脇を拳でえぐる。
痛そうに悶えながらも、照れ屋なんだから、と言う当たりは筋がね入りの変態だ。
いつもの彼がやっと戻ってきたような感じだ。
そんな彼を赤い目を大きくして見る女の子がいた。
「お兄ちゃん……変……」
「アリスちゃんおしい。変の次に、たいをつけるんだよー」
「ぐっ、俺と二人っきりの時では絶対に聞かない甘い声が聞こえる……。どうして俺ではなく、そんなガキに」


