治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



甘えたいさかりらしく、私の体に顔をうずくませて……まずい、理性が。


男じゃなかったことに安心したのは初めてかもしれない。


「お兄ちゃんはね、アフロディーテなの。でも今はラグナ様なの」


「え、と……。アフロディーテって、最高峰の……一番強い魔女に与えられる称号だよね」


「……?お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ、魔女じゃないよ。アフロディーテは強かったら誰でもなれるんだよ。今は、ラグナ様なの」



どうやら、私が知るアフロディーテの情報が違うらしい。


伝説めいた話だから、一般的に渡り歩く話しは噂でしかなく、事実は違うよう。


アフロディーテは魔女――つまりは女でなくてもいい。


ただ強ければという点を見れば、魔術師として――いや、魔導師クラスでももっと上にいかなければならないのか。