治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「間違いをそんなに責めないでほしいなぁ。人間、間違って香辛料を入れるぐらいよくあることだ」


「ビーズさんに恨み持っている人が言うと、かなり薄っぺらいセリフになりますね」


「世の中の若い男はみな死ねばいいのに」


「さらりと怖いことを言わないで下さい、この確信犯」


もう、とまた作業にとりかかる。


とんだタイムロスだというのに、彼は構ってほしいらしく私の名前を呼んでくる。


「ユリウスは、俺以外の男が好きなの?」


無視しようとしても、つい反応してしまった言葉。


「好きって……、別に好きな男性はいませんけど。あなただって含みます」


「嘘だね、それは」


「いつも思うんですが、あなたのその自信はどこからくるんですか」


「ユリウスの行動から」


「棒を投げつけたことのどこに愛情表現を見たんですか……」