治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「打撲すらもしてほしくないですよ。しょうがない、腫れ止めの塗り薬でも渡しに――行ったら、ビーズさんがあなたにやられてしまうか」


「さすがよく分かっているね。複雑骨折させたい気分なんだ、今」


「誰かまた村の人が来るだろうし、その人に届けてもらおう」


横にいる異常者をあえて無視し、腫れ止めようの薬の調合にとりかかる。


彼も彼で相手されたいのか、私が言わずともお手伝い――手慣れた様子で棚から薬草を取り出し、分量を計りだした。


役立つ。
私はすり潰すだけという楽な作業だ。


普通にしていれば、別にストレスにもならない爽やか青年だというのに。


「シブリールさん、なに香辛料いれようとしているんですかっ」


赤い葉っぱを入れる手を掴む。


本人は至って普通に。


「うっかり」


「うっかりで香辛料を入れないで下さいっ。しみます、ヒリヒリします、腫れが余計にひどくなりますよ!」