治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



今もそれ。



【お帰り、在るべき場所へ】



怯えるモノたちを一掃した彼は笑った。



“道”から出る無数の黒帯。

屍たちを捕らえ、引きずり込む。

潰され、引きちぎられて、叩きつけられて。抗う者は容赦なしに連れて行かれた。



「クッ、ハハ。ハハハハッ!」


生者は高らかに笑う。

地獄絵図の中で一人の生者は、ただ死んでいく哀れな死体どもに歓声を向ける。


この地獄の演出家は笑う、笑い続けた。




――いつだってそう。
立っているのは自分一人だけで、他はなーんにも残らないのだから。


ただ、今回は例外つきだったかと、片手で抱える温もりを彼は大切そうに抱きしめた。