治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



今のところ、患者はいない。

休もうかなと思うが、あっと思い出す。


「ビーズさん、大丈夫かな」


「俺以外の男の名前を言ういけないお口はどれかな」


「ブラドーさん、ケバブさん、レックスさん。ああ、いけない。男性の名前を無償に言いたくなってきました。これじゃあ、私はあなたに嫌われてしまいましね。わーい」


「焦らし上手な君も大好きだ。ちなみ、これから出る名前の男を殺してくるから」


「負けました……」


屁理屈争いじゃ、頭が良い彼が勝つのは当たり前。


というよりも、こんなバカなことをしている暇はない。


「腕ぶつけたとか言ってましたけど、骨折でしょうか」


「ただの打撲だ。打撲は二日目により痛むから。いっそ複雑骨折してほしかったね」