「自分自身より大切なモノはない。思っていたが、そんなことはないと知っている俺が止めても意味がない、か……。
ああ確かに、俺もあそこに君がいるなら何も省みずに助けに行くだろう。
…………、分かった。分かったよ、アリスを助けよう」
肯定の意見が聞けて、心強い味方ができたようで嬉しかった。
ならば早速と私が向かう前。
「助けたいならば、確実に救おう。ユリウス、俺に全てを任せ、身を委ねてくれ。
君が目を覚ますころには全てが終わっているはずだから」
彼が私の額に触れた。
右手は額、左手は腰に回される。
近づく顔、目を瞑ってと囁かれた。
彼ならば確実に助けてくれるのだろう。
だったら身を委ねるしかない。
助けたいならば、確実に救おう。
非力な私がでしゃばったところで誰かが助かると自惚れたわけではない。


