治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「自分を犠牲にしてまで他人を救うことまでしなくていい。他人は他人でしかない。

確かにあなたが言うのは一般論です、私はそれを可笑しいなどと言いません。


だから、きっと――」


アリスちゃんに視線を向ける。


見てまた思う。
頭から体に入る命令は確かなカタチとして、行動に出た。


「私が、可笑しいのでしょうね。自分が傷つく怖いと思っているのに、“助けたい”とさっきから頭の中が騒ぐんですよ。


同情からくるものか、ただ後味悪い思いをしたくないのか、正義の味方を気取りたいのか。

よくは分かりませんが、確かに今の私はアリスちゃんを助けたいと言っている。

偽善者だと人は言うかもしれない。でも、人ひとりを助けられるならば、“それも構わない”と思いませんか」